【行政書士が解説】明日から北九州市で運用が開始される盛土規制法ってどんな法律?

令和7年4月1日より北九州市で運用が開始される宅地造成及び特定盛土等規制法(以下、盛土規制法といいます)について行政書士が解説いたします。
本法に基づき新たに許可や届出の手続きが創設され、これらの諸手続きに関して行政書士の活躍が期待されています。
盛土や土地利用に関することでお困りの際は、当事務所にご相談ください。
下記のボタンからワンクリックでお問い合わせいただけます。
法律の概要
~盛土規制法がうまれるまで~
盛土規制法は、盛土等による災害から国民の生命・身体を守る観点から、盛土等を行う土地の用途やその目的にかかわらず、危険な盛土等を全国一律の基準で包括的に規制するために、宅地等造成規制法を全部改正し、令和5年5月26日に施行されました。
2021年(令和3年)7月に静岡県熱海市で発生した大規模な盛土の崩落により多数の死傷者が出たこと、と危険にもかかわらず十分な規制が行き届いていなかったという点を踏まえて改正が行われました。
改正の概要
改正の概要については、国土交通省ホームページにて以下の通り紹介されています。
(1)スキマのない規制
〇 都道府県知事等が、宅地、農地、森林等の土地の用途にかかわらず、盛土等により人家等に被害を及ぼしうる区域を規制区域として指定
〇 農地・森林の造成や土石の一時的な堆積も含め、規制区域内で行う盛土等を許可の対象とする 等
(2)盛土等の安全性の確保
〇 盛土等を行うエリアの地形・地質等に応じて、災害防止のために必要な許可基準を設定
〇 許可基準に沿って安全対策が行われているかどうかを確認するため、
[1]施工状況の定期報告、[2]施工中の中間検査及び[3]工事完了時の完了検査を実施 等
(3)責任の所在の明確化
〇 盛土等が行われた土地について、土地所有者等が安全な状態に維持する責務を有することを明確化
〇 災害防止のため必要なときは、土地所有者等だけでなく、原因行為者に対しても、是正措置等を命令できることとする 等
(4)実効性のある罰則の措置
〇 罰則が抑止力として十分機能するよう、無許可行為や命令違反等に対する罰則について、条例による罰則の上限より高い水準に強化 等
※ 最大で懲役3年以下・罰金1,000万円以下・法人重科3億円以下国土交通省HP:「宅地造成等規制法の一部を改正する法律」(盛土規制法)が公布されました~危険な盛土等を全国一律の基準で包括的に規制します!~
キーワード
盛土規制法を読み解くうえで重要となる用語は下記の2つです。
なお下記の二つの地域については、基礎調査の結果を踏まえ指定することとなっています。
宅地造成等工事規制区域:この区域で行われる盛土等は原則すべて許可となります
市街地や集落、その周辺など、盛土等が行われれば人家等に危害を及ぼしうるエリアのことを言います。
特定盛土等規制区域:この区域で行われる盛土等は規模に応じて許可もしくは届出となります
市街地や集落などから離れているものの、地形等の条件から、盛土等が行われれば人家等に危害を及ぼしうるエリア等を言います。
どのような盛土が規制の対象となるのか

北九州市HPより引用
宅地造成等工事規制区域において許可の対象となる盛土等の規模(特定盛土等規制区域にあっては届出対象)
土地の形質の変更(盛土・切土)
・盛土で高さが1メートル超の崖を生ずるもの
・切土で高さが2メートル超の崖を生ずるもの
・盛土と切土を同時に行い、高さが2メートルの崖を生ずるもの(上記1、2を除く)
・盛土で高さが2メートル超となるもの(上記1、3を除く)
・盛土又は切土をする土地の面積が500平方メートル超となるもの(上記1~4を除く)
一時的な土石の堆積
・最大時に堆積する高さが2メートル超かつ面積が300平方メートル超となるもの
・最大時に堆積する面積が500平方メートル超となるもの
特定盛土等規制区域において許可の対象となる盛土等の規模
土地の形質の変更(盛土・切土)
・盛土で高さが2メートル超の崖を生ずるもの
・切土で高さが5メートル超の崖を生ずるもの
・盛土と切土を同時に行い、高さが5メートル超の崖を生ずるもの(上記1、2を除く)
・盛土で高さが5メートル超となるもの(上記1、3を除く)
・盛土又は切土をする土地の面積が3000平方メートル超となるもの(上記1~4を除く)
一時的な土石の堆積
・最大時に堆積する高さが5メートル超かつ面積が1500平方メートル超となるもの
・最大時に堆積する面積が3000平方メートル超となるもの
適用除外と許可不要工事について
公共施設の用に供されている土地(公共施設用地)で行われる盛土等に関する工事は、盛土規制法の適用除外となります(法第2条第1項)。
また同様に規制対象工事であっても、災害の発生のおそれがないと認められる工事は、 許可を要しません(法第12条第1項ただし書・法第27条第1項ただし書・法第30条第1項ただし書)。
→ただし、盛土規制法の適用除外となるわけではなく土地の保全等に関する努力義務の適用を受けるため、災害の発生のおそれのある場合には、改善命令等の対象となります。許可不要工事については、政令第5条及び省令第8条において定められています。
北九州市では何が変わるのか
令和7年4月1日以降、北九州市ではほぼ全域が、宅地造成等工事規制区域もしくは特定盛土等規制区域に指定されます。
つまり北九州市内で一定の規模以上の盛土や土砂の堆積を行う場合は許可もしくは届出が必要になります。
盛土等に関連する土地利用規制について
盛土等を行う場合には、盛土規制法の手続き以外にも、地域や事業計画等により他の土地利用の規制に関する法令に基づく許可等の手続きが必要です。
当事務所ではこれらの手続きについてもサポートしておりますのでお気軽にお問い合わせください。
法令 | 地域や用途等の要件 | 行為 | 面積 |
---|---|---|---|
都市計画法 | 市街化調整区域 | 建築物の建築又は特定工作物の建設を目的とする開発行為 | 原則すべて |
市街化区域 | 建築物の建築又は特定工作物の建設を目的とする開発行為 | 1000㎡ | |
非線引都市計画区域 準都市計画区域 | 建築物の建築又は特定工作物の建設を目的とする開発行為 | 3000㎡以上 | |
都市計画区域外、準都市計画区域外 | 建築物の建築又は特定工作物の建設を目的とする開発行為 | 1ha以上 | |
森林法 | 地域森林計画対象民有林 | 土石、樹根の採掘、開墾その他の土地の形質の変更 | 1ha超 |
保安林・保安施設地区 | 土石、樹根の採掘、開墾その他の土地の形質の変更 | 原則すべて | |
農地法 | 農地 | 農地を農地以外のものにする場合 | 原則すべて |
砂防法 | 砂防指定地 | 土地の掘削、盛土、のり切、切土、開墾、土石等の堆積や投棄等 | すべて |
急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律 | 急傾斜地崩壊危険区域 | 掘削、盛土、のり切、切土、土石の集積等 | 条件あり |
地すべり等防止法 | 地すべり防止区域 | 掘削、のり切、切土、土石の集積等 | 条件あり |
福岡県土砂埋め立て等による災害の発生の防止に関する条例 | 県全域 | 土石による埋め立て、盛土その他の土地へのたい積を行う行為 | 3000m2超 |
お問い合わせ
お問合せの前によくあるご質問もご確認ください。
お電話の場合
年中無休:9時~20時
お問い合わせフォーム
LINEでのお問い合わせも可能

対応可能エリア
福岡県全域対応いたします
※弊所が北九州市にある関係でスケジュールによっては対応に1~2営業日いただく地域がございます。
【最短即日対応可能エリア】
北九州市・芦屋町・水巻町・中間市・遠賀町・岡垣町・苅田町・みやこ町・行橋市
【スケジュールによっては最短即日対応可能エリア】
築上町・豊前市・吉富町・上毛町・鞍手町・直方市・福智町・香春町・糸田町・田川市・大任町・赤村・添田町・川崎町・嘉麻市・桂川町・飯塚市・小竹町・宮若市・宗像市・福津市・古賀市・新宮町
【2営業日以内に対応可能エリア】
久山町・粕屋町・須恵町・志免町・宇美町・太宰府市・筑紫野市・大野城市・春日市・那珂川市・福岡市・糸島市・筑前町・朝倉市・東峰村・小郡市・大刀洗町・うきは市・久留米市・広川町・八女市・筑後市・大木町・大川市・柳川市・みやま市・大牟田市
【大分県全域】
大分市、別府市、中津市、日田市、佐伯市、臼杵市、津久見市、竹田市
豊後高田市、杵築市、宇佐市、豊後大野市、由布市、国東市、姫島村、日出町、九重町、玖珠町
【山口県全域】
下関市、宇部市、山口市、萩市、防府市、下松市、岩国市、光市、長門市、柳井市、美祢市
周南市、山陽小野田市、周防大島町、和木町、上関町、田布施町、平生町、阿武町