【行政書士が解説】第1種農地に店舗を建てることってできますか?(コンビニ編)|農地転用・第1種農地・市街化調整区域・開発許可

ただでさえお金のかかるコンビニ経営。ライバルが少なく、広い土地が安く手に入るといった意味では第1種農地が存在するような地域はおいしいエリアだと考えます。
ただし出店に際して超えるべきハードルはいくつもあります。許認可以外にも上下水道を引き込むなど技術的な要請も多いです。

本記事では、福岡県北九州市とその近郊を中心に農地転用を取り扱う行政書士がは「第1種農地にコンビニを建てることができるか?」というあなたの素朴な疑問を詳しく、そしてわかりやすく解説いたします。

下記のボタンからワンクリックでお問い合わせいただけます

私が記事を書きました


行政書士 乗越 悠生

Yusei Norikoshi

福岡県行政書士会所属 福岡県北九州市出身の行政書士
20歳の時に行政書士登録
福岡県北九州市とその近郊の市町村や市街化調整区域で
農地転用や開発許可等の土地利用規制許認可手続きをサポートしている

趣味:ドライブ・お散歩・昼寝

連絡先はこちらです
〒802-0011
福岡県北九州市小倉北区重住3丁目2-12
行政書士 乗越悠生(のりこしゆうせい)
電話:090-9654-3117 FAX:093-471-2411
メール:y.norikoshi.gyosyo@gmail.com

早速結論ですが、第1種農地を転用しその土地にコンビニを建てることはできないわけではないけど、正直結構しんどいというのが結論です。
携わる実務家としてのしんどさもさることながら、上下水道の引き込みや土地の造成など技術的な部分でコストがかかるのが懸念点となります

第1種農地でコンビニを建てる場合に行政書士が考慮すべき一般的な許認可は下記のとおりです。


〇農地転用関係
 農地法第4条or第5条許可

 農業経営基盤強化促進法(地域計画)
〇開発許可関係
 都市計画法第29条もしくは第34条
 立地する自治体独自の条例もしくは要綱その他諸規則
〇農振除外関係
 農振法ほか

▼許認可以外の立地などの考慮を要する事項▼
 都市計画区域の判定:市街化区域or市街地調整区域?(基本的に1種農地は市街化調整区域にあります)
 →1種農地の性質として市街化調整区域にあることが多いので、基本的には開発許可が必要になります。
 当該農地が農業振興地域内かどうか:農業振興地域内にある農地だった場合は結構しんどい
 →1種農地であるだけでしんどいのに、農業振興地域内にあったらもう最悪です。コスト的にも時間的にも長期戦になります。


▼農地転用に関して考慮が必要な事項▼ 
 第1種農地は、原則転用することができない農地です。
 →第1種農地を例外的に転用することができる例外規定をつついて転用することになるので綿密な調査と事業計画の立案(必要に応じてはその修正)が必要です。

▼開発許可に関して考慮が必要な事項▼
 そもそも開発許可を取ることができる場所なのかの調査が必要です。

第1種農地はその厳格な要件があるため基本的には市街化調整区域内に位置していることが多いので、そこでコンビニを建てる場合の条件をご紹介いたします。

農地転用に関する条件

農地転用については、第1種農地であることに着目して、その転用ができる条件をクリアしていく必要があります。
コンビニは「休憩所等に類する施設」として認められる余地があるので、この休憩所等に類する施設に関する条件を要約すると下記のとおりです。

・主要道路の沿道に立地していること
 国道や都道府県道の沿道であることが必要です。市町村道は対象外となります。

・周辺に休憩施設が少ないこと
 施設内に休憩スペースがあることトイレや座席など、休憩のための設備を備えている必要があります。


これらの条件を満たす場合、コンビニは「休憩所等に類する施設」として、例外的に農地転用が許可される可能性があります。

開発許可に関する条件

第1種農地は基本的に市街化調整区域内に位置することが多いため、今回は市街化調整区域内にある第1種農地を想定します。
市街化調整区域内で建物を建てる場合は、規模にかかわらず開発許可が必要となります。
開発許可に関する条件は下記のとおりです。

・市街化調整区域で建物を建てる場合は、開発許可の取得が必要です。
 根拠法は都市計画法第34条です。

・コンビニは都市計画法第34条第1号に掲げる「主として当該開発区域の周辺の地域において居住している者の利用に供する政令で定める公益上必要な建築物又はこれらの者の日常生活のため必要な物品の販売、加工若しくは修理その他の業務を営む店舗、事業場その他これらに類する建築物の建築の用に供する目的で行う開発行為」に該当します。

詳細な要件は下記のとおりです。

▶開発予定地が既存の集落内またはその周辺であることが求められます。なぜならあくまでも既存集落地内のニーズにこたえるための施設だからです。
既存集落とは、市街化調整区域内で建築物の敷地相互間の距離が100m以内で、住宅系建築物が40以上連たんしている地域をいいます。
コンビニ予定地は原則としてこのような既存集落の内部または周辺に位置していなければなりません。
これは、周囲に居住する住民の生活圏内であること(周辺住民の利用に供する公益性があること)を担保し、開発が孤立して都市的土地利用を誘発することを防ぐ狙いがあるためです。

▶当該店舗が主として周辺住民の日常生活利便のために機能することが重要です。
審査においては、近隣に同種の店舗が無く生活サービス向上に資するかといった点も考慮されます。
都市計画法上明文化された要件ではありませんが、第34条第1号の趣旨として、市街化を抑制しつつも地域の公益に資する必要性があります。
単に営利目的でロードサイドに建設するだけでは許可は困難です。
行政側で「地域にとって必要な施設か」が判断され、需要が乏しい場合や立地目的が周辺住民向けと言い難い場合(例:高速道路沿いで通過車両のみを狙った立地等)は、公益性の観点から不許可となり得ます。
つまり、地域住民の生活インフラ(買い物施設)としての公益性が認められることが、許可の大前提となります​。

審査基準では、店舗営業に必要な許可・資格・施設を申請者自身が有していることが求められています​。
言い換えれば、申請者自身がそのコンビニ事業を営む意思と能力を持っていることが条件です。

例えば、コンビニ営業に伴い必要となる各種免許(酒類販売業免許やたばこ小売販売業許可など)を自ら取得できること、フランチャイズ店舗であればオーナーとして運営する意思があること等が確認されます。第三者に賃貸して単に土地利用収益を得る目的の開発や、申請者自身が事業に関与しない計画は認められません。
この自己用・自己営業目的の要件は、地域の実情に即した小規模な商業利用に限定することで無秩序な開発を抑制する趣旨があります。

開発区域(敷地面積)は事業内容に見合った適切な規模にとどめる必要があります。市街化を抑制するためです。
福岡県基準ではおおむね500㎡(約151坪以内)を原則的な上限の目安としています​。
駐車場や緑地帯なども含め、敷地全体が過大にならないよう計画しなければなりません。必要最低限の規模に抑えることで、大規模商業施設化を防ぎ周辺への影響を低減します。

建築物自体も地域の日常利便施設として適切な規模・デザインであることが求められます​。
福岡県の審査基準では、店舗の売場面積は原則150㎡以下と明示されています。

バックヤード等の付属部分を含めた延べ床面積は売場面積の約130%程度(付属部は全体の30%程度まで)にとどめることが目安とされています。

このようにコンビニ店舗としては小規模な構造に限定することで、広域から集客するような大型店とならないようにしています。
また、建物の高さについても一般的な平屋建てまたは2階建て程度が想定され、周囲の景観や環境と調和した設計であることが望ましいです。
派手な大型看板や照明計画についても、周辺環境への配慮が求められる点に注意が必要です。


他の農地の検討:第2種農地や第3種農地など、転用が比較的容易な農地が周辺にある場合、そちらへの転用が優先されることがあります。
無許可転用のリスク:許可を得ずに農地を転用した場合、原状回復命令や罰則の対象となる可能性があります。


第1種農地へのコンビニ建設は、原則として難しいものの、特定の条件を満たす場合には例外的に認められる可能性があります。
特に市街化調整区域内では、農地転用許可に加えて開発許可など、複数の手続きが必要となります。
計画を進める際は、地域の農業委員会や専門家と連携し、慎重に進めることが重要です。

お問合せの前によくあるご質問もご確認ください。

お電話の場合

090ー9654ー3117

年中無休:9時~20時

お問い合わせフォーム

    お困りごとの内容(どんな手続きのことで行政書士に連絡をしましたか?)

    本件に関して市役所等に相談に行きましたか?

    申請地(転用したい農地)の地番を教えてください
      

    申請地(転用したい農地)の地目を教えてください
      

    申請地(転用したい農地)の現況を教えてください(例.耕作放棄地となっているなど)
      

    申請地(転用したい農地)の現況がわかる写真などがあれば添付してください

    申請地の持ち主は誰ですか(具体的に教えてください!持ち主の方以外がご相談されているときは関係性も教えてください)

    LINEでのお問い合わせも可能

    対応可能エリア

    福岡県全域対応いたします
    ※弊所が北九州市にある関係でスケジュールによっては対応に1~2営業日いただく地域がございます。

    【最短即日対応可能エリア】
    北九州市・芦屋町・水巻町・中間市・遠賀町・岡垣町・苅田町・みやこ町・行橋市

    【スケジュールによっては最短即日対応可能エリア】
    築上町・豊前市・吉富町・上毛町・鞍手町・直方市・福智町・香春町・糸田町・田川市・大任町・赤村・添田町・川崎町・嘉麻市・桂川町・飯塚市・小竹町・宮若市・宗像市・福津市・古賀市・新宮町

    【2営業日以内に対応可能エリア】
    久山町・粕屋町・須恵町・志免町・宇美町・太宰府市・筑紫野市・大野城市・春日市・那珂川市・福岡市・糸島市・筑前町・朝倉市・東峰村・小郡市・大刀洗町・うきは市・久留米市・広川町・八女市・筑後市・大木町・大川市・柳川市・みやま市・大牟田市

    【大分県全域】
    大分市、別府市、中津市、日田市、佐伯市、臼杵市、津久見市、竹田市
    豊後高田市、杵築市、宇佐市、豊後大野市、由布市、国東市、姫島村、日出町、九重町、玖珠町

    【山口県全域】
    下関市、宇部市、山口市、萩市、防府市、下松市、岩国市、光市、長門市、柳井市、美祢市
    周南市、山陽小野田市、周防大島町、和木町、上関町、田布施町、平生町、阿武町

    投稿者プロフィール

    norikoshi

    SNSはこちらから

    コメントを残す

    メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です