【行政書士が解説】行政行為としての「届出」について|届出・行政手続法・行政行為

私たちは何らかの事業を行う場合、官公署に対して申請や届け出といった行為を行います。今回は行政法講学上の「届出」と行政手続法上の「届出」について解説いたします。
福岡県北九州市とその近郊を中心農地転用を取り扱う行政書士が「届出」について詳しく、そしてわかりやすく解説いたします。

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私が記事を書きました


行政書士 乗越 悠生

Yusei Norikoshi

福岡県行政書士会所属 福岡県北九州市出身の行政書士
20歳の時に行政書士登録
福岡県北九州市とその近郊の市町村や市街化調整区域で
農地転用や開発許可等の土地利用規制許認可手続きをサポートしている

趣味:ドライブ・お散歩・昼寝

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〒802-0011
福岡県北九州市小倉北区重住3丁目2-12
行政書士 乗越悠生(のりこしゆうせい)
電話:090-9654-3117 FAX:093-471-2411
メール:y.norikoshi.gyosyo@gmail.com

「届出」と一口に言ったとしても、行政行為としての届出と、行政手続法における届出は異なります。
表面的には同じ「届出」という言葉を用いていても、法的性質が大きく異なります。以下にその違いと関係性について、法的根拠・判例・通説に基づいて厳密に整理します。

【行政行為としての届出】

〇実質的には「許可・認可」の一形態としての届出
 行政庁の審査・同意・裁量判断が介在するもの
 届出という形式をとっていても、実態としては許可(行政行為)に該当します。

【行政手続法上の届出】

〇行政手続法においては、法第2条第7号に「届出」が次のように定義されています。

行政手続法第2条第7号

届出 行政庁に対し一定の事項の通知をする行為(申請に該当するものを除く。)であって、法令により直接に当該通知が義務付けられているもの(自己の期待する一定の法律上の効果を発生させるためには当該通知をすべきこととされているものを含む。)をいう

〇また行政手続法第37条においては、届出の効力や取り扱いについて定められています。

行政手続法第37条

(届出)
第三十七条 届出が届出書の記載事項に不備がないこと、届出書に必要な書類が添付されていることその他の法令に定められた届出の形式上の要件に適合している場合は、当該届出が法令により当該届出の提出先とされている機関の事務所に到達したときに、当該届出をすべき手続上の義務が履行されたものとする。

届出は、行政手続法上、届出諸の記載事項に不備がなく、届出に必要な書類が添付されていて、そのほかの法令上定められた形式上の要件に適合していれば、役所の窓口に持っていった時点でやるべきことは終わりです。

また行政手続法上、「受理」という概念がありません。

ですから要件に適合している書類を窓口に持って行った時点でこちらの義務は完了しますので、役所側が受理するとか、受理を拒否するといった行政側の行為は法令上なんら根拠を有しておらず、基本的には応じる必要がありません。

項目行政行為としての届出行政手続法上の届出
法的性質行政行為(許可・認可)の一種事実行為(通知)
行政庁の関与裁量・判断が入る原則として受理のみ
不受理の扱い拒否(不許可)可能法定要件を満たせば拒否不可(=受理義務)
不作為救済不許可処分に準ずる行政手続法38条による受理義務違反の救済あり
争訟手段処分性あり ⇒ 不服申立て可不受理の場合も処分性ありうる(判例参照)

【判例】

● 東京高判平成14年10月30日(建設業決算変更届)

届出の不受理処分についても、実質的に法的地位に影響を及ぼす場合は処分性が認められる。

● 最判昭和45年12月15日(いわゆる「農地転用届」)

届出の形式をとっていても、実質的に農地法による許可が必要なものであれば、これは行政行為である。


【関係性】

・「届出」という同じ言葉が使われていても、形式と実質を峻別する必要がある
・行政行為としての届出は、「許可」の形式を避けるために届出の形式を採っているだけで、実質は行政処分と解される場合がある

【実務的な注意点】

・届出形式だからといって、すべてが行政手続法上の「届出」に該当するとは限らない
・書類作成・受理・受付後の処理においても、届出の種類により行政庁の対応が根本的に異なる

観点行政行為的届出行政手続法上の届出
定義実質的には許可や認可に該当する法律上の単なる通知行為
判断基準届出により法的効果が生じるか/行政庁の判断を要するか権利義務に直接関係しないかどうか
行政手続法の適用形式に惑わされず、実質判断が必要

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